エスニック

最終更新日:2007年7月4日

6月27日の「今日の課題」での質問と回答です


質問 回答
@都市交通システムのシミュレーションは実際の測定値とどこまで一致するのでしょうか?
A高齢者のバリアフリーのために使われる財源はなかなか確保できないのではないでしょうか?
B精神障害者のバリアフリーは安全上どのように行われるのでしょうか?
@かなり一致することもありますし、大きく外れることもあります。昨今、交通需要予測は交通インフラを作ることが目的で過大予測してばかりいて当てにならないという議論がありました。確かに予測が大きく外れることもありますが、その原因の多くはモデルの構造自体というよりも、説明変数の将来値の予測が大きく外れたというケースです。例えば、大規模な開発が当初の予定通り進まなかったり、交通ネットワークの一部が未整備であったりすることが原因で、実際の需要が予測値よりも少なくなったケースが多いです。
A基本的には、交通事業者や道路管理者が財源を負担することになりますので、財源の確保は制約となります。交通バリアフリー法およびバリアフリー新法では、バリアフリー整備のための助成制度も定められています(国土交通省のHPをご覧下さい、http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrier/hojo/hojo00.html)。
B確かに精神障害者に対する、具体的なバリアフリー施策は難しいところです。施設の整備だけではなく、周囲の人々の心のバリアフリーがより重要になるでしょう。
四段階推定法がよくわかりません。6/6の課題のように、どの事象がどう関わってくるのかが理解しづらいです。 発生・集中、分布、分担、配分の各段階の入力変数が何であるかを復習して下さい。例えば、発生・集中モデルの説明変数は、活動システムに関する変数のみで交通システムに関する変数(アクセシビリティ指標)が含まれていないことが課題として指摘されています。また、四段階推定法ではうまく扱えない(入力変数としてうまく設定できない)交通施策もあります。
疑問点は特になかったのですが、興味深かった点としては、交通調査がどの程度予測に活かせるのだろうか?ということでした。 交通調査は、主に、現状を把握する、予測モデルを開発する、という2つの目的で実施されます。将来の交通需要を予測するためには、交通システム(道路・鉄道ネットワークなど)、活動システム(土地利用、人口など)のデータが必要になります。どの程度活かせるのだろうか?という問いにお答えするのは難しいですが、予測には必要不可欠であります。
先日人生初めて入院してしばらく車椅子を使っていたんですが、そういった高齢・障害者をケアする意識はどう発生し、その意識の先端をいく国々の特徴、成り行きを知ってみたいと思いました。 高齢者・障害者のための交通政策が最も進んでいる国としては、1960年代から様々な施策をはじめたスウェーデンが挙げられます。米国も1970年代から、英国も1980年代から法制度の整備と共に高齢者・障害者のための交通施策が進められてきました。きっかけは、やはり高齢者・障害者人口比率が増加し、人々の意識が高まったことだと考えられます。わが国は他の先進国と比較して、急速な高齢化が進行し、人々の意識も最近急速に高まってきていると思われます。関心があれば、書籍等を紹介しますのでご連絡下さい。
特になし わかりました。
エスカレータで車椅子を運ぶシステムはどうやって降りるのか? エスカレータを止めたり、駅員さんを呼ばなくても利用できるようにしないと障害者の方が他人の手助けが必要なことを負担に感じてしまうのではないだろうか。 降りるときも駅員の補助が必要です。おっしゃるとおり、障害者の方が他の人に迷惑をかけたくないという意識を持ってしまうことが多いようです。周囲の人がノーマライゼーションの理念を理解し、お互い助け合うことが普通である社会にしていくことが重要だと思います。
先々週(6/13)の授業の代替案の評価方法があまりわからなかった。 ポイントは、費用便益分析はプロジェクトの経済的効率性を評価する手法であり、また扱っている便益も非常に限定された項目ですので、費用便益分析のみで代替案を評価せずに、そこで扱われていない定性的な項目や、プロジェクトの実行可能性なども含めて総合的に評価して代替案を選択することが重要であるということです。
私は建築学科に在籍していますが、建築学の専門家との交流(この大学の学科レベルや、学会レベルでの)は、どの程度あるのでしょうか。日本では都市計画に携わる行政官と建築家との断絶が大きいと指摘されることもありますが。 例えば東大では、ここ数年は21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」という研究プロジェクトで、建築、社会基盤、都市の3専攻が連携していまして、比較的活発な交流が行われているように思います。また、建築と土木では文化が大きく異なっているという噂もあります。
先生の授業は非常にわかりやすく、質問する事項が思いつきませんでした。 それはよかったです。
@社会調査を行う際の協力者のつのり方。
Aモデルとか数式(評価とか推定)が出てきたあたりが今一理解できていない。
B(授業ではあまりふれていない気もしますが)東京における自転車交通について
@パーソントリップ調査は住民基本台帳からのランダムサンプリングで協力者を抽出しますが、もちろん断られることも多いです。調査については、たとえば「アンケート調査の方法」などを読んでみてください。
A数式の細かい点は覚えなくても大丈夫です。
B例えば「渡辺千賀絵(1999)自転車とまちづくり, 学芸出版社」「古倉宗治(2006)自転車利用促進のためのソフト施策, ぎょうせい」などを読んでみてください。
特になし わかりました。
本講義で扱った内容が、実際に世の中の役に立ったという事例があれば、ぜひ紹介して欲しい。 多くの交通計画は、実際に世の中の役に立っていると思います。
去年の過去問を解こうと思ったのですが、まったくわかりませんでした。詳しい解答をお願いします。 残念ながら過去問の解答は秘密です。
小学生でも議論できる内容を大学で議論するにあたり、格差づけるために特に力を入れた点を挙げるとしたら何ですか? ご承知の通り、都市は異なる価値観や属性を有した多様な人々が集まって生活する場所です。都市計画・交通計画も多主体多目的の計画であり、総合的な視点と柔軟な対応が必要になります。将来、実際に都市計画・交通計画の仕事に携わる皆さんには、常にバリアフリーの視点も忘れないで欲しいと思います。
一回計算をした時のが今一まだわかりません。こういうの。違う交通手段でのなんか計算。 均衡配分の練習問題のことですね。あの問題では3つの経路のうち1つは、他の2つの経路(所要時間は同じ)よりも所要時間が長くなるため利用されないというケースでした。実際の交通ネットワークでは一つの出発地・目的地のペアに対して、非常に多くの経路が存在しますので、利用されない経路はたくさん出てきます。手計算では無理なのでコンピュータに計算させます。
特にありません わかりました。
今日の写真のエスカレーターのしくみがわかりません。ここがどうなっているか。取り外し可能なのか、降りるときどうするか。 「車椅子乗用ステップつきエスカレーター」などと呼ばれます。通常は普通のエスカレーターとして使用されますが、全てのステップの中で特定のステップ3枚分だけ連続して水平になり、落下防止用の車止めが出る仕組みです。エレベーターが設置できない場合には有効な対策ですが、駅員の補助を必要とし、他のお客さんが利用できなくなるなどのデメリットがあります。
講義内容ではないですが、成績評価はどのようになっているのですか? 具体的な配分等あれば教えて頂きたいです。 第1回目の講義でアナウンスしたと思いますが、出席点3割、期末試験の成績7割とする予定です。
四段階推定法からついていけなくなりました。よくわかりません。あと、モデルの使い分けがよくわかりません。 新谷先生の都市交通計画の教科書も読んでみてください。
四段階推定法が難しかったので、解説お願いします。 基本的な考え方は、対象地域全体の生成トリップを、発生・集中、分布、分担の3段階を通して、交通手段別のOD表に分割し、配分段階でリンク交通量を求めるというものです。前の段階のアウトプットが次の段階のインプットの一部(制約条件)になります。
計画決定のプロセスの話しが具体的にどういう手順なのかイメージしにくかった。 実際のプロセスが、必ずしもあの図の通りに行われているというわけではありません。重要なのは、計画作業のプロセスの役割は、意思決定のプロセスに対して、作業結果についての十分な情報をわかりやすく提供するということです。
@交通システム分析の基本構造の図がよくわかりません
A四段階推定法の分布モデル、分担モデルにおけるゾーン間交通抵抗(所要時間、費用)の違いって何ですか?
@基本的には、意思決定のプロセスと計画作業のプロセスの2つのプロセスが並行して行われ、お互い情報交換を行うということを示しています。
A分担モデルのゾーン間交通抵抗は、各交通手段別の所要時間や費用を別々に設定しますが、分布モデルのゾーン間交通抵抗は、複数の交通手段を総合した所要時間や費用などの変数(例えば、交通手段別OD交通量で重み付けした所要時間など)を設定します。
四段階推定法のモデルの数字の計算がわかりにくかった。1回あったが、簡単な例題を提示してくれるとわかりやすいと思う。 確かに、手計算で可能な簡単な例題があると良いとは思っていますが、準備できずにすみませんでした。都市計画コースの冬学期の「広域計画」および「都市基本計画」の演習では、実際の都市圏を対象にデータとソフトウェアを用いて四段階推定法を行う課題が用意されますので、そこでより理解が深まるのではないかと期待しています。
原田先生の授業でTrafficとActivityとInstitutional Frameworkという3つの交通システムにおけるキーワードがあったのですが、交通予測においてInstitutional Frameworkをどのように取り込んでいるのか知りたいです。 四段階推定法では、交通システム(道路・鉄道ネットワーク特性)と活動システム(人口、土地利用など)をインプットとしております。土地利用規制や運賃政策などを反映した将来の交通システムや活動システムの状態をインプットとすることで、Institutional Frameworkに関する事項を取り込んでいると考えられます。
まち歩きで問題点を見つけたら、それが改善されるまでには、どのくらいの時間がかかるものなんですか? 問題の種類によります。例えば、点字ブロックが剥がれていたなどの問題であれば、1日でも対応可能ですが、歩道の段差の解消ですと数ヶ月はかかるでしょうし、駅へのエレベータの設置も数ヶ月から数年かかることもあるでしょう。また、その他の関連する計画や施策(例えば、鉄道の連続立体交差事業、駅前広場の整備、区画整理、再開発など)等の実施と同時にバリアフリー対策を行うこともありますので、それらの実施予定とも関係してきます。
今回の内容は全体的にわかりやすかったですが、バリアフリー新法の今までとの違いがわかりにくかったです。 交通バリアフリー法は、鉄道やバス車両のバリアフリー化、駅などの旅客施設およびその周辺(徒歩圏)を重点整備地区と設定し、高齢者・身体障害者等の利用の多い施設(病院、福祉施設、商業施設など)までの歩行環境をバリアフリー化するという内容でした。バリアフリー新法で新たに盛り込まれた内容は、知的・精神障害者を含めて全ての障害者が対象となり、ハートビル法による建築物および駐車場・公園・タクシー等のバリアフリー化が追加され、旅客施設のない地区でも重点整備地区に設定可能となり、基本構想策定の際に当事者の参加を法定化し、「心のバリアフリー」の促進等ソフト面を強化した点などが挙げられます。
特にないです。あえて言うなら四段階の推定法(?)後半部分の違いがよく分かっていません。 後半部分の違いとは具体的に何でしょうか?
個人のトリップ状況について、電話などでアンケートをとってましたが、対象の決定や住所、電話番号の特定とかはどうやっているのか。 電話調査は主に米国ではメジャーな方法です。例えば、電話帳から電話番号をランダムまたは系統的に抽出し、電話帳に掲載されていない人も抽出するために、その番号に1を加えた番号に電話をかけるなどの方法が取られます。その場合は住所は電話で質問することになるでしょう。
交通予測の四段階推定法で、具体的なインプットがどのモデルに適応されるのかがよくわからなかった(以前の課題) 各モデルのインプットは、発生・集中モデルでは夜間人口や就業人口、分布モデルでは発生・集中交通量とゾーン間交通抵抗、分担モデルではOD表と交通手段別ゾーン間交通抵抗、配分モデルでは交通手段別OD表とリンクパフォーマンス関数(利用者均衡配分の場合)となります。発生・集中モデルは交通システムに関する変数(アクセシビリティ指標)がインプットになっていないことが課題として認識されています。
@点字ブロック上を両方向から視覚障害者が歩いてきたらどうするのか。
A宇都宮餃子のおいしい店
@おそらく、お互いが相手を認知して、道をゆずるなどの行動をとるのではないかと思います。
A例えば「みんみん」が有名です。
特になし わかりました。
DRT、ボタンを押した時だけ迂回していくとすると定時性は確保されるのか? 停留所のボタンを押す方法よりも電話等で予約する方法が多いです。時刻表としては、バスの出発地や到着地の時刻が決まっていて、予約をするとおおよそ何時何分頃にそのバス停に到着するという情報が与えられます。
何回説明を受けても、モビリティとアクセシビリティが頭の中で混ざることがある。 簡単に言うと、モビリティは特に目的地を限定せずに個人の移動能力を表現する概念で、本来はポテンシャルを意味するものですが、顕在化した移動(トリップ数、移動距離など)をモビリティの指標と呼ぶことも多いです。アクセシビリティは特定の目的地へのアクセスのしやすさで、2地点間の移動コスト(時間、費用など)や一定時間内に到達可能な施設数などの指標で表現されます。その他の条件が同じであれば、モビリティの高い人はアクセシビリティも高くなります。しかし、交通は活動の派生需要であり、活動を行うことに対するアクセシビリティを考慮する視点が重要だと考えられます。また、バリアフリーの視点からは、バスやタクシーなど車両へのアクセシビリティという意味でも使用されます。
予測モデルの作成プロセスがいまいちよくわかりませんでした。 四段階推定法や非集計モデルを含めた様々な予測モデルの作成についての話です。モデル化する対象および説明変数と被説明変数を特定し(specification)、パラメータを推定し(calibration)、モデルを検証する(validation)という段階を踏みます。
この授業の行く末。 7月18日の期末試験で終了です。
推定法での統計学的手法についてもう少し具体的に説明して欲しい。 パラメータ推定には、重回帰モデル、重力モデル、集計ロジットモデルは最小二乗法、非集計ロジットモデルは最尤推定法を用います。
@出席点の比重(笑)
A特に思いつかない(日ごろ、わからないことがあたりまえになっているからでしょうか・・・)
@第1回目の講義でアナウンスしたと思いますが、出席点3割、期末試験の成績7割とする予定です。
Aまずは何がわからないかを知ることが必要だと思います。また、わからないことをわからないままにしておくのは良くないことです。お互いがんばりましょう。
モビリティとアクセシビリティ 簡単に言うと、モビリティは特に目的地を限定せずに個人の移動能力を表現する概念で、本来はポテンシャルを意味するものですが、顕在化した移動(トリップ数、移動距離など)をモビリティの指標と呼ぶことも多いです。アクセシビリティは特定の目的地へのアクセスのしやすさで、2地点間の移動コスト(時間、費用など)や一定時間内に到達可能な施設数などの指標で表現されます。その他の条件が同じであれば、モビリティの高い人はアクセシビリティも高くなります。しかし、交通は活動の派生需要であり、活動を行うことに対するアクセシビリティを考慮する視点が重要だと考えられます。また、バリアフリーの視点からは、バスやタクシーなど車両へのアクセシビリティという意味でも使用されます。
@パワーポイントの上手な作り方は?
A上手な子育てとは?
@私にも教えてください。
A私にも教えてください。
@四段階推定法、特に計算の仕方と考え方のつながりがわからない(数式にとても弱いから)
Aパラメーターの推定は全く理解できなかったです。すみません。(代替案評価はまだ直感的にわかったのでよかったです)。
B調査は社会調査だと思いました。
@簡単に言うと、発生・集中は重回帰モデル、分布は重力モデル、分担は集計ロジットモデル、配分は均衡配分が最近の基本でしょうか。基本的には、対象地域全体の総トリップを、段階的に分けていく作業です。数式の細かい点は覚えなくても大丈夫です。
Aロジットモデルの最尤推定法のことでしょうか? 冬学期の都市工学数理演習Uで、実際にサンプルデータとプログラムを用いてパラメータ推定を行う演習がありますので、是非受講して下さい。
B人の交通行動は、客観的に観測できる部分もありますが、アンケート調査を行わなければわかりにくい項目が多いです。

さらに何か質問があれば、大森までご連絡下さい。
e-mail: nobuaki@ut.t.u-tokyo.ac.jp

エスニック